最終書換日:99/7/30

花も嵐も、ラーメン物語、その10

岡山倉敷のラーメン屋の巻 10


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味音痴のラーメン談義です。独断と偏見をお許しください。

化学調味料なしでがんばるラーメン屋さん

  
 私、結婚してしばらくの間は岡山市に住んでおりました。岡山市街地のすぐ東に「東山峠」というのがありまして、「裸まつり」で有名な西大寺方面へ通じる県道が走っております。その峠を越えてしばらく東進した「円山」という土地に二年ばかり住んだことがあったのです。といいましてももう○十年にもなってしまいましたが。
 すっかり変わってしまいました。あのころは田圃も見えて初々しい?新居にはぴったりの土地柄だと思っていたのですが。今では家が立ち並び狭い県道に車がおしあいへしあい・・・といった様のようなんです。あっ、あそこだ。家々の隙間からわずかに昔私の住んでおりました借家が見えるではありませんか。なつかしーー。といったことはおいておきましょう

 今日はこの筋に「化学調味料を一切使わない」でがんばるラーメン屋さんがあるという話で、出かけてきたのでありました。円山からもう2キロばかり東に「海吉(みよし)」という交差点があります。そこを右折(南へ)しますとほんの数十mのところに「みよしラーメン」という看板がありました。
 小さなスーパーのお隣です。中は10数席でしょうか。うんうん、普通のラーメン屋さんの雰囲気です。ラーメン(480円)を注文しました。開店間際とみえましてあわてたご亭主、麺を湯がいてくれました。

   「化学調味料を一切使っておりません。新鮮な食材と・・・地鶏をコトコト煮込んだ醤油ベースのさっぱりスープと、チャーシュー、麺のハーモニーをお楽しみ・・・」などと筆書した張り紙があります。なるほどなるほど。
 深い鉢に入って出てきたラーメンは、透明な醤油スープです。おやこの緑なのは?、絹さやではありませんか。季節のものでなんとなくほのぼのとさせられます。麺はしっかりしていました。スープはあっさりして、同じ鶏ということで、「備中笠岡鶏ラーメン」との共通項を探してしまいました。
 でも、思わず聞いてしまったのは「あの”せせり”ってなんですか?」
『ああ、鶏の首のところの肉です。ほらこれですよ』
 目の前の鉢に細い鶏肉を煮込んだのが入れてあります。美味なんでしょうか?。でも「今度来たときはせせりラーメンにしよう」なんて考えてしまいました。あっ、どっかのように「角煮ラーメン」なんていうメニューもありました。もちろん豚ですけれども。(99、4)

 休:水曜

岡山駅西口の・・・・・

  
   うーん。・・・・。このラーメン特集も、80数店ともなりますと、タイトルがうまく出てきません。
 ごめんなさい。一嘉(いちよし)さん。
 というわけで、岡山駅西口すぐの「一嘉(いちよし)」さんの巻です。
 岡山駅西口側も、最近ではきれいになってきましたね。何よりも駅舎のスマートさはどうでしょう。まるでどこかの「道の駅」の風情を漂わした駅舎が出来たのはいつだったんでしょうか?。私などめったに駅西には行きませんので、しげしげと眺めてしまいました。
 そのうえ、県庁の出先機関である「国際交流センター」とか「パスポートセンター」まで、駅西に出来てしまいました。え、今ごろ言うなって。ごめんなさい。時代に遅れていますねー。私などパスポートの申請に県庁に行ってしまったという間抜けなものですから・・・。
 駅西といいますと、「奉還町」というイメージがいまだにつきまとう私なんです。
 でも、奉還町も健在ですねー。素晴らしい。何より安い。そのうえ、岡山ラーメンの草分けの「浅月」「富士屋」がまだあるのは素晴らしいですね。
 で、その岡山駅西口から、富士屋の裏の「国際交流センター」への途中にあるラーメン店「一嘉」へ今日は立ち寄らせていただきました。
 おおきな「ラーメン」の看板に誘われてついつい入ってしまったのは、このHPを書かねばという脅迫観念のなせるわざかもしれません。
   「ラーメン、500円」ほか、いつものメニューがあります。でも、ここはごく普通のメニューで、とくに変わったのはないようです。うんうん。
 おばさんが、「あ、ごめんなさい。水が出てなかった。」で、私「いいえ、どういたしまして。」
 この一言がなぜ「あら、お客さん、やさしいんですね。」と、おばさんの素敵な笑顔のを呼ぶのでしょうか?。駅西はよっぽど気性が荒いのでしょうかと、思わず思ってしまったわたしでした。
 こんなことを言うと「きっとラーメンがまずかったから、あれこれ言ってごまかしているんだ?。」と深読みされる方もおられるでしょうね。でも、みなさん、それは読みすぎですよ。岡山の豚骨醤油ラーメンとしては、まあ標準的味といいましょうか。至福とまではいきませんが、私はけっこう美味しくいただかせてもらいました。2つ入った大きなチャーシューも美味しかったですよ。知った人は富士屋かもしれませんが、この大きな看板に誘われても、決して損ではないな・・・なんて考えた一日ではありました。
 あ、一嘉(いちよし)さん、「いっか」なんて読んでごめんなさい。
 年中無休が嬉しいですね。(99、4)
 営:11:00~14:00  17:00~22:30
   日祝は、~21:30

「ニンニクげんこつ」東京のチェーン店

  
 岡山市内に「ニンニクげんこつラーメン」という店ができたという話を聞いたのは、 そう、昨年末だったでしょうか。でも、私の日常の行動範囲から少しはずれておりまし たので、今日まで食べておりませんでした。先日初めてその前を通って「あ、ここなん だ。でもケバケバしい外観でまずそー」なんて勝手に思っておりました。
 店の名は「花月」。これも派手な名前ですね。「ニンニクげんこつラーメン花月」な んだそうです。
 でも、今日行ってきました。食事時を外れていましたので、他に2人のお客がいたの みですが、食券方式のラーメン屋さんは岡山では珍しいですね。
 国道30号線を南下、十日市を左折。今はもう死語と化した「人絹道路」をしばらく 行きますと、「豊成」という交差点があります。旧の空港線との交差点ですね。そのす ぐ手前右側にあるのです。
 ニンニクげんこつラーメン620円。同みそ、東京風醤油ラーメン、汁のない「もん じゃそば」なんてのもあって、みな620円です。ニンニクげんこつを注文しました。
 出てきたのを見ますと、あ、スープになにやらもやもやと浮いています。みかけ はちょうどとろろそばのとろろのような感じです。でも、これが「げんこつ」なんでし ょうか。それとも豚の背脂とかいうものなんでしょうか。
   「ここって、チェーン店なんですか。近くではどこにあります?」
 『そうです。本部は東京です。近くでは広島と兵庫の本山です。』
 うん。美味しいです。麺はちょっと太いけど、スープは美味しい。しばらくして、一 味を入れたところ、ますます美味しくなりました。私の舌に合ってしまったようです。
 見ると東京は杉並区高円寺の(株)花月食品あてのアンケート葉書がおいてあり ます。なるほどなるほど。
 とうとうスープも全部飲み干してしまいました。
 で、帰途に気づいたのですが「おや、この味は?」。そう、なんだか悪い油で揚げた てんぷらを食べた後のような、ちょっとした気持ち悪さが口にのこっているのです。ま あ、それに悩まされたのは30分くらいでしたけれども。
 でもそれ以外は不満のなかった私でした。(99、4)

PS: 後日行ってみたのですが、油の悪さは解消されていました。
 この店は、HPがありました。 http://www.kagetu.co.jp/ です。
平成5年に最初の店を開いてから5年、昨年末にはチェーン店が100を突破したそうです。なんとも、ものすごい勢いですね。
PS2:な、なんということでしょう。この「花月」、私がこの記事をアップして半月もしない、5月9日で閉店したというのです。なぜなんでしょうか。岡山に味が合わなかったのでしょうか?。この店は1年と2ヵ月くらいだったようなんですが、岡山には珍しい味でしたのでちょっと残念な気がします。
 たくさんリポートしていますと、こんなこともありますよね。

高瀬船が運んでくる「ラーメン」・・・

  
   岡山県には「3大河川」というのがありまして、西から高梁川、旭川、吉井川という わりと大きな川が北から県内全域を潤し、瀬戸内海へと注いでいます。以前にはどの川 にも「高瀬船」(たかせぶね)という船が、米など主要な産品を積んで上り下りし、交 通運輸の基本をなしていました。後楽園前の岡山県立博物館にはその大きな模型が飾ら れています。
 ところが、今回その「高瀬船」にお目にかかってしまいました。それも「実働」の・ ・・。
 あ、失礼しました。ちょっとしたたとえでございます。でも、本当なんです。なんと 、「高瀬船がラーメンを運んでくる店」を発見してしまったのです。

 3大河川の真ん中、旭川の中流域。国道53号線でございます。そう、岡山から県北 の雄都津山市へと抜ける、幹線道路の中間あたりでございましょうか。「ドライブイン旭川」という、これまた歴史と伝統のあるお店でございます。昭和37年の「国体」め ざして整備されましたこの道路、そのころはあちこちに「ドライブイン」が花盛りでご ざいました。「一の丸」なんてお城の形をしたお店など、私もよく愛用したものでござ います。でも久しぶりに訪れた「一の丸」は、もう廃虚・・・、いや遺跡というのにふ さわしい姿でもございました。で、そのなかで生き残っていたのがこの「ドライブイン 旭川」でございます。あ、けっして北海道のラーメンどころ「旭川」とは無関係でござ います

 久しぶりと言いましても、私の場合、20年ぶりとでも申しましょうか。なぜか「ラ ーメン」というおおきな提灯に誘われてこの「ドライブイン旭川」に足を踏み入れさせ ていただいたのでございます。

   どうやらこの「ドライブイン旭川」は、「ラーメン専門店」に衣代えしまして、「遺 跡化」するのを免れて、繁盛しておられたようではありました。あ、これも私の趣味的 独断かもしれませんが、でも、ついついそのように思われたものでございますから?? ?。

 『おおおーーーいいい』といったような声が厨房のほうから聞こえてきまして、何事 かと見ていますと、なんと目の高さに「高瀬船」の模型が「ラーメン」鉢3杯を運んで 来るのが飛び込んでまいりました。「福渡~、福渡~」。ありがたくどんぶりを下ろさ せていただきまして・・・。550円。なぜか60数席もあります「ドライブイン旭川 」、繁盛しておられたのでございます。
 岡山の標準的な「トンコツ醤油」とでも申しましょうか。でも澄んだスープで「チャ ーシューも美味しく、シナチクもカリカリ、もやしもあって、麺はほどよく・・」私に はけっこう美味でございました。どうしても「岡山、倉敷」にかたよりがちな私のレポ ートでございます。ぜひぜひこの「ドライブイン旭川」さんには、今後とも繁盛してい ただきたいと思いながら、噛みしめた味ではございました。
 ではみなさま。(99、4)

”美味しんぼ”を読みながら食べるラーメン

  
 岡山の夜は早いと申します。それは高松や広島など「支店経済」で単身赴任のおとうさん方の多い土地柄に比べて、夜の街が静かなのはしょうがないでしょう。でも、ひところのようではありませんが、岡山にも「田町、中央町、柳町・・・」と「夜の町」はあるのです。
 私にこの界隈のラーメン屋さんのリポートが少ないのは、歳のせいか最近飲む機会が減ったことと、昔から飲みながらけっこう食べる習慣なものですから、「飲んだあとのラーメン」がどうもなじめないこととがあると思います。
 でも、今夜は久しぶりにこの一角に迷いこんできました。でなぜか素面だったのです。お腹も空いていました。そこへ見つかったのが「中華そば」というおおきな堤灯。あくら通りの西端近くでありました。どうやら店の名は『一平』というようなのです。
 入ってみますと先客は2人。むこうに少し高いカウンター、入り口近くにはテーブル席もあるごく普通の食堂という雰囲気です。丼物もあるようです。
   しばらくして出てきた中華そば。古い味噌のような香りが少しする、どろっとしたスープです。うん、美味しいです。この味はなんなんでしょう。
 「これって、味噌も入っているんですか?」『いいえ、醤油だけなんですよ。』
 背のすらりとした、きれいな女の方が入ってこられました。奥へつかつかと進むと、本棚からなにやら2冊ほど取り出して、私の筋向かいに席を占め、熱心に読みだしました。なるほど、奥には書架ともいえる本棚があります。どうやら漫画本がぎっしりのようです。し、しまった。私も何か取って、読みながら食べればよかった・・・。

 でもこの夜の私には、筋向かいにおすわりで、「美味しんぼ」を熱心に読みながらラーメンをすすっておられる美人のお顔を、ちらちらと眺めるという失礼をはたらきながらのラーメン、大変に美味しくいただきました。
 店を出ると、これから飲みに行こうかどうしようかというさきほどの迷いがふっきれたように、岡山駅に直行してしまった私ではありました。(99,6)
 

その食堂は、城下町の路地の奥にありました

  
 「高梁市の”丸金”がいちばん美味しいと思う。ぜひ食べてみてくれ。」岡山出身和歌山在住の方からこんなメールが入りました。
 高梁市は岡山県西部、高梁川と吉備高原の間に南北に細長く伸びる街です。かっては備中松山城の城下町で、NHK大河ドラマ「元禄・・」で大石蔵之助が「備中松山藩の取りつぶしのおり、城受取役をつとめたが、藩士たちの心情をおもんばかって・・・」などと述べている街です。そうそう、全国に多い「小京都」の1つでもあります。

 そこの「ラーメン」です。見逃せません。でかけてみました。
 街の西北部、高梁川の土手を走る国道180号線沿いに、市の観光駐車場があります。そこへ車を止めて、その裏の道路を南(右)にとり、行くこと600m。下町、南町と経過したところに、左にお稲荷さんが見えてきます。その向こうにちいさな路地があるのです。うっかりすると通り過ぎるような小さな路地です。その奥をのぞきますと、ありましたありました。『丸金食堂』という看板。小さな入り口に赤い「中華そば」というのれん。いかにも街の食堂というたたずまいそのままのお店ではありませんか。
 中は20席くらいでしょうか。ラーメン屋にしては意外に良い机や椅子です(失礼!)。メニューは「中華そば450円」「わかめラーメン500円」などラーメンメニューのほかズラズラと食堂メニューが並んでいます。先客のお二人は定食らしきものを召し上がっておられました。

   出てきたラーメン鉢は、大きい上に一面に綺麗な模様の入った豪華なもの。さすが城下町の食堂?なんて感心する以上に驚かされたのは「レンゲ」です。でっかい!!。普通の3倍はあるようなでっかいレンゲが乗ってきたのです。
 さっそくそのレンゲでスープを。透明な醤油味のスープは、鶏出汁でしょうか。なんともあっさりしていて、少し心細げではありましたが、でもなかなかの味です。大きめのチャーシューもなかなか。わかめも美味。麺は中細のストレート麺でしたが、私にはもう少し固くっても良かったです。
 でも、これなら毎日食べても厭きがこない。さすが街中で庶民に親しまれてきたラーメンです。
 「伝統ある街中のラーメン」として、ついつい妹尾の「玉ちゃん」、西大寺の「八方」などを思い出してしまいました。どれもその街々の人情をうつしだした味わいある風情と美味しさを、いつまでも続けていって欲しいものです。(99、6)

PS:私の知り合いに高梁にお住まいの方がおられます。なんとも”そよ”とした女性で、ラーメンなんかのことを聞くのははばかられるように思われたのですが、勇気をふるって聞いて見ました。
 「あ、丸金食堂は近くなんですよ。昔は夜鳴きそば屋さんだったんです。あの軽四で回ってくるのがあるでしょう。美味しいと評判がたってあの店を構えたんです。美味しいですよね。鉢も大きいし・・・・」
 いろいろ詳しく教えていただきました。ありがとうございました。
 


高梁駅前、老舗食堂の「備中高梁昔ラーメン」

  
 高梁市といえば「松山踊り」が有名です。毎年お盆の3日間、JR高梁駅前の大通りを埋め尽くす老若男女の踊りの群れは圧巻で、岡山3大踊りに数えられています。何でも今年は高知から「よさこい踊り」も参加するとか。年々盛んになっているようです。
 その駅前大通りから繁華街の栄町商店街に入ったところにあるのが、古い伝統を誇る「食堂ビックリヤ栄町店」です。食べ物の本には「日本料理」のコーナーで紹介されたりしているように、「和定食」からどんぶり物、鉄板定食、そば、うどん、それに洋食類とメニューは多彩です。郷土料理なんて看板も目に入ります。
 その中に何と「中華そば」があるのです。「昭和25年から作りつづけている・・・」とものの本に解説してあったりするように、古くからの『中華そば』の味が生きていました。
  鶏出汁の透明な、あっさり醤油味。鶏のくさみを消すためか、最初からコショーが振りかけてあり、なつかしいあの中華そば独特の風味です。
 麺は中くらいのちぢれ麺。
 「ちぢれ麺って、岡山では珍しいですね。」と問う私に、おばさんは、
 『珍しいでしょ。でも昔はみんなこんな麺だったんですよ。今ではまっすぐなのが多いみたいですけど。』
 「食彩本(アス発行)」には「高梁出身の映画評論家が絶賛して有名になった云々」とありましたので、聞いてみますと、あの水野晴夫氏とはご親戚とか。
 「備中高梁昔ラーメン」と言えそうな懐かしいラーメンが生きていました。(99、6)

 

松崎茂が取材した、高梁ラーメン

  
 山陽新聞社発行の「庶民派グルメガイド」(1993年)には高梁市のラーメン店として「天狗」という店が載っています。「手打ち麺」を食べさせるということで、楽しみにして行ってみたのですが・・。
 花屋の気さくな娘さんが「あそこは美味しかったんですけどねー。だいぶ前に閉めてしまわれました。えっ、美味しいラーメン屋さんを捜しておられるんですか。うーん、それでしたらここを少し北へ行って・・・。少し前にテレビにも出ていましたよ。」
 と教えていただいたのがこの「味屋」という店でした。高梁川にかかる3つの大橋のいちばん北、「方谷橋」からまっすぐ市街地に入り、突き当たったところにあるのがそうです。
 2台分ある駐車場に車を入れると、とたんにプーンと臭ってきたのは岡山でもおなじみのラーメン店が出汁をとるときのあの臭いです。「美味しそうだ~」期待を高めて入りますと、ここも高梁市のラーメン店の例にもれず「食堂風」の店内です。でもここはメニューが「ラーメン」「うどん」それにおでんくらいです。
   白髪まじりのご亭主が出してきたのは、昔、岡山でも食べたことがある・・ような薄い醤油味のラーメンでした。でもここは中細のストレート麺です。うん、美味しい。
 「これって、とんこつ醤油ですか?。」
 『うーん。豚骨と鶏がらと、いりこも少ーーし。』ぶっきらぼうなご返事が返ってきました。
 「何だか、以前テレビに出られたとか聞いたんですけど。」
 『あれ、いつだったかなー。顔の真っ黒な歌手がおるやろ。・・・。そうそう、この色紙や。』
 見ると、歌手の松崎茂さんとこの店のおかみさんらしい人が一緒に写った写真といっしょに、色紙にサインがしてあります。H3,5,1。どうやら8年ほど前に松崎茂さんが、どこかのTV局の番組で取材したようでした。
 あらかじめコショーも振りかけてあり、戦後岡山のラーメンの原形の1つをここでも食べさせていただきました。ごちそうさまでした。(99、6)

 


し、しいたけの入ったラーメン。

  
 高梁市の西側を流れる高梁川。そこには3本の橋がかかっています。北から方谷橋、高梁大橋、落合橋です。その真ん中の高梁大橋から少し南に下った国道180号線沿いに、「ラーメン、ぎょうざ」のおおきな看板がありました。「ますいや」というお店です。
 このお店はまだ新しそうです。入り口横に大きな熱帯魚の水槽があって、大きな魚が元気よく泳いでいます。
 ラーメン400円。う、安い。思わず「ラーメン」と言ってしまいました。
 スープは、やはり透明な醤油味です。いや何か和風の出汁も入っていそうです。和風のおぼんに乗って、小梅が2つ添えて出てきました。
   麺は岡山では珍しく中細のちぢれ麺。薄くて大きなチャーシュー、モヤシにシナチク。そしておおきな海苔1枚。ちょっと東京風醤油ラーメンといった雰囲気です。でも、多目に入ったネギは緑の岡山風。驚いたのはよく味の着いた「しいたけ」が乗っていたことです。ここで和風を極端に主張しておられます。
 いろいろ考えながら食べていますと、「どうぞ」と笑顔のきれいな娘さんがコーヒーを置いてくれました。えっ、これもついて400円のようです。何か得した気分になりながら、私の従姉妹によく似たおかあさんと、笑顔の良い娘さんのお顔をちらちら見ながらの、幸せな昼食ではありました。(99、6)

 

戦前の「上海」ゆずり、格子戸の中華菜館

  
「格子戸をくぐりぬけ、・・・・・・   私の城下町」
 み、みなさん、おどろきました。この歌そのもののお店があったのです。それも城下町、備中の小京都高梁市の中央病院横の小さな路地。格子戸のはまった町屋の続くなかの一軒に、古~~い「中華そば」という木の看板がすがりついていました。軒の上には「中華菜館・かどや」。「かどや」の文字は黄色のとっくり型の中にかかれています。もちろん「中華菜館」の文字は思いっきり旧字体でした。
 正面にかかるのれんは、グレーのかすり地のような。ま、まさに和風そのもの。「料亭」といっても通りそうではあります。「備中の小京都高梁、を代表するような雰囲気のラーメン屋さん」だったのです。思わず足が震えてしまいました。あ、「ラーメン屋さん」と言ったらしかられるでしょうか?。店の中も何か和風、町の食堂風でありました。
 ちぢれ麺でした。鶏出汁でしょうか。薄い醤油味、少し胡椒がかかって。あ、そうです。駅前のビックリヤさんでも似たような感じでしたが、いよいよこれは「備中高梁昔ラーメン」と命名しなくてはなりませんね。
  まあ、食べた人によっては、「何のへんてつもない、普通の中華そば」なんでしょうけれども。表からのこの貴重な雰囲気が、私にとってこの中華そばの味を、何倍にも美味しくしてくれたように思いました。
 でも、嫌味の無い、スッキリした味で、結構美味しかったですよ。本当に。
 あとで電話でお聞きしました。「先代が戦前の上海にいましてね。戦後に栄町でしばらく店を出していまして、昭和29年にここに移ったんです。」
 うーーん。あの戦前の国際都市上海ゆずりだったんですね。今ビッグコミックの「龍」でそのころの上海の様子が描写されていますが、なんだか懐かしい気がしました。(99、7)

PS:今回の「高梁特集」、丸金食堂から始まってかどやまで、なんとなくノスタルジックな気分に浸ってしまいました。でも、こういう味のラーメン屋さんがいつまでも続いてほしいと思う、今日このごろではあります。