由加山古道に立ち並ぶ仏たち |
「由加山にも石仏観音があるよ。」と教えられたのは少し前のことでした。由加山といえば「由加神社」「由加山蓮台寺」などがあり、かっては四国の金毘羅さんとともに、「両参り」で栄えたところです。私はといえば、ほぼ40年前の青年時代のハイキングで、そして先年の同窓会で由加温泉を訪れたという程度の記憶しかありません。そういえば近いのにまともにお参りしたことがない・・・。
字で書けば「瑜伽山」「由加山」の2つがあるようです。また「由加神社」「由加山蓮台寺」のほかに「瑜伽大権現」という呼称もあり、いったいどれが正しいのだろうと、私などはまよってしまいます。 |
![]() | ![]() | ![]() |
由加山蓮台寺 | 瑜伽大権現 | 由加神社 |
地図で見ますと、由加山蓮台寺を中心に、四方に配置されています。どういう並びなんだろう?思わず考え込んでしまいました。 最近ではないようですが、少し前には地元の方々を中心によく巡拝されていたようです。こうして巡拝していますと、あちこちで「以前に私らも廻ったんよ。」というお年寄りによく出会いました。
そしてここではそのオリエンテーリング用の詳しい地図を頂きました。本当に詳しく、そのおかげで周辺の地理に不案内な私でも何とか33全部廻れたといえます。 地図には「由加山村三十三札所観音めぐり」とありました。えっ、山村??
しかし最初はこの石仏観音たちが、どういう配置で並んでいるのか全くわかりませんでした。周辺の山の中にポツリポツリと文字通り孤立して立ち並んでいるようにも見えたからです。 しかし4~8番が、どうやら南からの参拝道らしいところにあったこと、特に8番は大鳥居の横でした。 そして決定付けたのは20番でした。どう見ても谷の向こうに孤立してあるのです。どうしてあんなところに??ところが偶然居合わせたお年寄りに教えていただきました。「昔はあそこをお遍路さんが続いたものですよ。あの下の池のところから上がってきて、向こう側へ行くんです。」 ![]() また28番では「この前の道が昔の本道なんですよ。」(右の写真) たくさん教えていただきました。もう間違いありません。この「由加山村33観音石仏」は由加山への四方からの参詣道(古道)に立ち並んでいたのです。今はもう失われた道も少なくないようですが。 地図を見ると、北西の倉敷市児島郷内方面、北東の灘崎町迫川(’05年から岡山市)方面、東の玉野市長尾方面、そして南の倉敷市児島田の口方面からと四方から古道が続いていたことが想像されます。 そして由加山から約2キロばかりのところへ来ると石仏群が現れるようです。昔のお遍路さんたちは「ああ、由加さんまであと半里になった。ありがたい。」とほっとしてこの石仏を拝んだのでしょう。 しかし、2、3番などいくつかは少し外れているようで、2、3番は古道ちかくでも、古来からの「いわくら」信仰の跡に配置されているという気がしました。 この石仏たちの成立年代は、由加山観音堂横の15番の土台にありました。「安政四」とかろうじて読み取れます。1857年で、幕末激動期のようです。 とにかくこの「由加山村33観音石仏」、大きさも様々で、配置も変化に富み、十分に楽しむことが出来ています。あと7つ、頑張ろう。(2005,3)
|