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天狗になった気分で ~鞍馬山散策~

 ちょっと早すぎました。京都市内のラッシュにかからないようにと早立ちしてきたのですが、鞍馬寺の下についたのは午前7時でした。新西国18番鞍馬寺で納経印をいただくには2時間もあります。そこで恒例の朝散歩朝散歩・・・

鞍馬の火祭り

   でもついついお寺さんの方に足が向いてしまいました。山門をくぐって階段から山道へ。右側には魔王の碑などいくつかのお堂や碑が並んでいます。
 しばらくいくと「由岐神社」がありました。なんと、有名な「鞍馬の火祭り」はこの由岐神社のお祭りだとのこと。私はTVでしか見たことはありませんが、毎年10月22日にはここへ来る鞍馬街道がいっぱいになるとのことでした。商売繁盛祈願、縁結び祈願、子授安産祈願、病気平癒祈願などさまざまの願いをするお宮さんのようで、絵馬がたくさんかけてありました。
 このすぐ上にはあの源義経供養塔もあります。

 山門由岐神社

うっそうと巨木が立ち並び

 ここから上は「九十九折れ」として有名なつづら折れ(あれっ、「九十九折れ」って「つづらおれ」とも読むんだ。浅学失礼)のの坂道が続きます。巨木が立ち並ぶ暗い道です。そして右に「四脚門」がありそこを入るようになっているのですが、横には「この石置き場にはマムシがいます」という立て札も・・。怖そう・・・
 門を入ってしばらくいくと、石段が続くところに出ます。その石段、実は何回も「もうそろそろ終わりかな?」と思わせられて、角を曲がるとまだまだ続く石段にがっかりさせられるという連続でした。
 そしてようやく金堂が目の前に現れます。ここまでおよそ30分。おっと、ここの狛犬は写真下のように珍しいものですね。
 でも、きょうはまだまだ早く、思い切って奥の院を目指します。実は私、鞍馬へ来るのは2度目で、4年余り前、この鞍馬の入り口にある二ノ瀬の杉原さんを訪ねたことがありました。そのときにはこの奥の院から貴船神社への道をたどることはできませんでしたので、今日は行ってみることにしたのです。

「無理な修行をして身を滅ぼさないように」だって!!!

 最初にあったのは「与謝野晶子鉄幹歌碑」、そして霊宝殿を過ぎると、少し平らな道が続きます。おや、右手に水が出ています。「牛若丸息つぎの水」とあり「かって牛若丸が武芸修行に通う途中で息つぎに飲んだ水」だそうです。なんと今でも湧き出しています。では私もと、口をすすがせていただきました。
 しばらく登りが続き、不動堂へ出ました。「僧正ヶ谷」というところで、かって牛若丸(源義経)が天狗から兵法を学んだのはこのあたりだと言われているそうです。義経堂もあり「義経は歴史的には東北の平泉でなくなっているが、魂はここへ帰って祭られている」と書いてあります。なるほど・・・・。
 ところで「ここらで無理な修行をして身を滅ぼさないようにお気をつけください」という意味の立て札は何なんでしょうね。行者よろしくここで荒行の真似事をして亡くなった(遭難した?)人が出たのでしょうか?もっとも私でもふとそういったことを想像したりはしますけどもね。実行するかどうかは別ですけど・・。

奥の院魔王殿

 「岩が固く木の根が表面を這っているところです。出来れば根を踏んで痛めないようお通りください」という「木の根道」をとおり、しばらく進むといよいよ「奥の院魔王殿」です。山門からちょうど1時間でした。おそろしげな奥の院への細い山道が行き着いたのは、これも”こわいこわい魔王”を祀ったお社でした。森の中に静かに建っています。源義経修行の地よりもはるかに奥地にやってきたという気持ちでしばらくたたずんでしまいました。いや、少々疲れました・・・。

一気に下って、貴船神社へ

 奥の院から貴船神社までは、急坂の連続を一気に谷底へ下ります。細い道が続きます。途中で右上から石がコロコロ、なにやら「シャラシャラ」という音も・・・。もしかしたら「長い者」かもしれない・・・と足も速まりました。
 ようやく谷底に到着。4年半前にも来たなつかしい貴船神社です。鞍馬からこうして山越えしてようやくたどり着いた貴船神社、何か特別の感慨がありますね。
 有名神社にしては小さい社殿が岩に寄りかかるように建ち、水を管理するという高麗神(たかおかみのかみ)を祀るこのお社です。近くの中帯江の貴船神社や亀山の高麗神社(竜神社)と同じと思うと、「ここが始まりかもしれないなー」となんだか親しみがわきますね。弥生の初めに水田農耕を持ってきた高麗(韓国)からの神が祀られているのでしょうか?

叡山電鉄鞍馬線

 とてもとても、さっきの坂道を登る気がしませんで、あるいて叡山電鉄鞍馬線の貴船口駅まで出て、鞍馬駅まで乗ってしまいました。この電車も乗りたかったものです。後からこられた京都の屈強な若者たちも同じコースでしたから、電車利用もあながち歳のせいとは言われないでしょうね??
 鞍馬寺の納経のために、もう一度金堂まで上がったのですが、こんどは「ケーブルカー」を利用してしまったことも付記しておきます。でも大都市京都のすぐ近くに、このような深山幽谷ともいえる癒しの場所があったのです。すばらしい一日でした。(2006,9)