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「みんなちがって みんないい」
金子みすヾのふるさと、長門市仙崎

 私が今度の「中国33観音西中国の旅」で、なんだか気になるところがありました。それは山口県長門市です。20、21番さんが萩市でしたので、なんとなくそお隣の長門市を通ってみたいと思ったのでした。「長門の国」の名をもった小都市だから?。でも当初なぜそう思ったかはわかりませんでした。  

「みすヾ通り」が目に付いて

 前日、下関市長府のお寺を最後に次へと車を飛ばし、長門市らしいところに到着。海岸の漁港らしいところへ車を止めて一泊しました。そして朝の散歩で驚いたのです。あちこちに「金子みすヾ」の名が出てくるのです。山口の記念館も見ましたし、私とて素敵な詩人「金子みすヾ」のファンであることには違いないのです。
 そして目の前には「みすヾ通り」が。古い商店街がその名になって、延々と続いているようなのです。さっそくその通りを散歩することにしました。
 「みんなちがって みんないい」このやさしいフレーズが金子みすヾふぁんの心をつかんではなさないのです。そしてこの「みすヾ通り」には、ほとんどのお宅の軒下に金子みすヾのさまざまな詩が、ぶらさっがっていたのです。ひとつひとつ読んでは移動していると、とんでもない時間がかかります。でも、それが金子みすヾふぁんをしてやさしい心にしてくれるのです。
 また郵便局の近くには、仙崎名物のかまぼこ板にみすヾの詩を書いたものを、多数並べてみすヾの顔を作っていたりしました。そこに留まったなら、はたして何時間かかるでしょうか?  

みすヾ通り遠景にはこのように見えていますが近寄ると。数多くのかまぼこ板にみすヾの詩が
私の42年の人生を一言で!!

 TV局で働き、いろんな職種のいろんな価値観を持つ人たちの集団の中での42年間でした。そして今回、企業や企業内での身分・立場を超えての労働組合の組織にかかわってきた私にとって、「みんなちがって みんないい」という金子みすヾの言葉こそが、これまでの私の人生を凝縮した一言だったのです。いや、そう思ってしまったのです。
 自分と違う人がいて、その人の意見や心を受け止めることが出来る・・・なんとすばらしいことでしょう。そうしてこそ初めて自分の可能性が開けるような気がするのです。  

一度仙崎の「みすヾ通り」を歩いて見ましょう!

 「いろんな働き方が出来ていい」と某総理などは言います。たしかにそうでしょう。でも何か忘れてはいませんか?。「金子みすヾ」は、いろんな人がいるとは言ったのですが、それでその人々を差別すまいと言ったのです。「いろんな待遇でいい」とは決して言っていません。「みんないい」には、違いで人を差別せず、みんなを認め合って生きていきましょうという意味がこめられているのです。
 それを某総理にわかってもらうには、この「金子みすヾ通り」を歩いてもらって、軒先の詩を全部読んでもらうしかありませんかねー。
 総理が無理なら、みなさん、ぜひこの仙崎に来てみてください。  

こんなものがあってその乾物屋です各家々の軒先には、様々な詩が
観音様のお引き合わせ

 今回たまたまこの仙崎の街を散歩する機会に恵まれました。そして私の人生を総括する場にも恵まれたのです。なぜかというと、趣味の観音様巡りのおかげでした。観音様は現世をお救い下さるそうです。私と「金子みすヾ」とは観音様の縁で深く結びつくことが出来たのかもしれない・・・。なんて大それた思いを持ってしまった、今回の小旅行でした。
 でも、ほんと、長門市仙崎っていいところですよ。これをお読みの皆様、少々遠いですけど、ぜひお越しくださいませ。あ、対岸の「青海島」には、「波の橋立」って名勝もありますから。
 右の写真は「金子みすヾ記念館」です(2005,10)