「遊放ぶらり旅」のページへ戻る

東讃三寺で八十八ヶ所結願

 四国八十八ヶ所霊場めぐりは、東讃岐にある三寺で終わり、すなわち結願(けちがん)を迎えます。日誌を繰って見ますと、始めたのは2007年の3月ですので、もう4年余りになってしまいました。せいぜい2年程度で終えようと思っていましたのに意外に時間をかけてしまいました。
 しかし思えばそのぶんだけ一ヶ所一ヶ所のお寺さんの印象が強く残ったようにも思います。巡拝というよりはスタンプラリーの乗りの私でしたが、とにかく楽しく、また気持ちよい四国八十八ヶ所霊場巡りでした。

藤原不比等が出てきた志度寺

 今日はゴールデンウイークの真ん中です。高松自動車道もさすがに少し込んでいました。やっと志度インターを下りると、あとは看板を頼りに86番志度寺にたどり着きます。
 駐車場に車を置いて行こうとすると、まず「海女の墓」という墓群があります。大きな五輪塔が林立しています。「海女の墓」というには立派過ぎる・・・と思いましたが、解説を読んで納得しました。
 奈良時代から平安にかけてのあの藤原氏支配の基を作った藤原不比等がここに来て、土地の海女と夫婦になり、一子房前(ふささき=次男)をもうけ云々・・とあるのです。
 この藤原房前は後に道長、頼道など政権で栄華を極めた藤原北家の祖です。さすがにその母の墓と言われるだけあると感心してしまいました。
 それにしても先日この墓の一部が削り取られ(お守りにする風習が一部にあるとか)、防止の為周囲に急造の柵がめぐらされているのは残念な事でした。

 またお寺のほうは広い境内でしたが、江戸初期という現在の本堂、仁王門などに比べて、五重塔が新しいのかな?とおもっていたら、この志度出身で大阪で成功した竹部二郎という人が、何と昭和50年に建立したものだとありました。四国霊場の中で五重の塔が有るのは三寺だけです。スゴイですね!!

古い歴史の町の87番長尾寺

 志度寺から87番88番へは、南への一本道です。瀬戸内海岸から讃岐山脈の山ふところまで、およそ25キロの道中でした。
 途中の87番長尾寺は長尾郷、長尾荘と律令国家から平安時代の古い歴史が残るさぬき市長尾の街中にありました。広い敷地の周囲に堂群が立ち並び、中はひらけています。木々も茂っていた86番志度寺とは逆の印象ですね。

いよいよ結願、八十八番は大窪寺です

 曲がりくねった山道をたどり、山門に着くとまず「醫王山」という看板が目に付きます。「ああ、ここも四国霊場に多かった薬師如来なんだ。さすが結願だけある。」などと妙な事に感心しながら奥へ進みます。本堂の後ろには見事な岩山が。あ~、あれが神体山なんだろうななどと感心。胎蔵ヶ峯というのだそうです。
 女人高野などとも言われるそうで、現代に通じる歴史を秘めているのでしょうね。

 ああ、やっと四国八十八ヶ所めぐりも終わったのだ。感慨に浸るにはちょっとあっけない幕切れではありました。で、記念に門前の野田屋さんというところでうどんをいただきました。「たらいうどん」が有名なのだそうですが、「あの、てんぷらも欲しいのですが。」と言うと「それなら天釜うどん(1000円)をどうぞ。」と。いちおう達成感を感じながらいただきました。普通の讃岐うどんのように硬くはなく、わたしのような年寄り向きなのでしょうか。美味しかったです。ご馳走様でした。

別格19番香西寺

   今回の私の巡拝は「四国別格20霊場」「ぼけ封じ四国33観音霊場」を同時に廻っています。で、帰途に2寺へよらせていただきました。
 まずは高松市の西端、香西寺です。さぬき浜街道が五色台へかかる手前にあるお寺さん。高松市香西西町。何と、四国別格霊場19番のほか、ぼけ封じ四国33観音霊場の33番、すなわち結願のお寺さんでもあったのです。
 本尊は珍しく地蔵菩薩で、「延命地蔵」となっていました。ほかに毘沙門天も祀ってあり、「さぬき7福神」の一つでもあるようです。けっこう多角経営のお寺さんですね。

ご~~~~ん、共鳴壷の薬師院

 五色台の西側、坂出市の綾川のほとり(土手の下)にあったのが薬師院です。ぼけ封じ四国33観音霊場32番ということで寄らせていただいたのですが、鐘を搗かせていただいて驚きました。「ご~~ん、おんおんおんおん・・・わんわんわんわん・・・」大きな音が長く続くのです。こんな鐘は初めてです。不思議に思ってご住職にお尋ねすると「鐘楼の下に甕が埋めてあるのですよ。」とのこと。なるほど、見ると網状になった下に、大きな甕が2つ並んでいるのが確認できるではありませんか。そうか、これで、上の鐘と下の甕とで共鳴しあって大きな音が続くんだ・・・。
 で、もう一度搗かせて頂きました。「ご~~ん、おんおんおんおん・・・わんわんわんわん・・・」
 ご住職、きっと乗られたのでしょう。「この松は幹が緑で珍しいでしょ。中国西安の松なんですよ。」
とか「この木知っていますか?葉っぱを嗅いでごらんなさい。ニッケの木です。」次々と珍しいものを紹介いただきました。ありがとうございました。(2011,5)