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はじめての「発心」・1/2
ーその1、四国霊場1~12番を出来心でー

 なんと私、四国88ヶ所霊場を巡るはめになったのです。といいますのも、JRの「青春18切符」というのを買いまして「さあ、どこへ行こうか?」と考えて、ふと思いついたものなのです。とにかく行ってみよう・・・。したがって信心などというものではなく、ただのスタンプラリーの乗りでございました。で、この旅レポートなのです。

不便な地方のJR普通電車

 我が家を朝7時前にたって、高松から徳島の手前の板東という駅まで行かねばなりません。青春18切符とは、8000円で(この時期のみ、記念で発売当時の価格でした)5日間JR普通電車が乗り放題で、人気があるのです。でも特急や新幹線には乗れません。それでこんなことがおこります。
 快速で高松に着いて、次の高徳線引田行き普通までは1時間ありました。そのうえ引田でまた1時間余りの待ち時間です。結局板東駅へ着いたのは、11時30分でした。せっかく早立ちしたのが何にもなりません。これは大阪や広島へ普通電車で行こうとするときにも感じることですが、「JRってまるで特急を利用しろと言わんばかりに、地方の普通電車の接続をわざと悪くしている・・・」と勘ぐってしまいたくなります。
 まあ、今回はおかげで?引田の町をゆっくり見て歩くことが出来はしましたが。(このレポートは別項)

急な思い立ちで、準備はゼロ・・

 なのです。四国1番がどんな名前のお寺さんかさえ定かでない状態で、とにかく板東駅の少し北にあるらしいという情報だけの私。これを無謀というのでしょうか?
 でも、見ると前を巡礼姿のご婦人が・・。もう相当なお年と見受けましたが、まるで踊るように歩いておられます。しめしめ、あのあとを行けば・・・というわけで、四国霊場1番札所霊山寺へ到着でした。
 皆さん、手水を使い、線香とロウソクを供えています。団体客が数十人も般若心経をあげておられます。多くの人が白装束です。不信心な私にはなんとも面映い雰囲気ではありませんか。私はと言えば、まっすぐ本堂にあがらせていただき、少し手を合わせるのみです。そしてかたわらの納経所で、納経帳と案内本あわせて3,000円を求めました。さあ、いよいよ四国88ヶ所巡礼、あ、私の場合は少し上等な?スタンプラリーの開始でございました。お大師さん、お許しくださいませ。

日本の第九発祥の地

 さすが四国でございます。1番さんの前から西への道中、ずっといろんな道しるべが続いています。これなら素人の私でも迷いっこありません。
 おっと、「日本の第九発祥の地」という看板が目に付きました。えっ、9番は法輪寺でしょうって?いやですよ、第九といえばベートーベンでしょう。ほら年末になると日本中から聞こえてくるあの第九交響曲のことですよ。
 数年前から合唱なんて始めている私にとって、この徳島県板東の「ドイツ捕虜収容所」はもうひとつの聖地なのです。これは行ってみなくては。寄り道寄り道・・・。
 あまり整備されていない公園のようなところが、巡礼ルートのすぐ近くにありました。2本の門柱があり、「『第九』日本初演の地」「板東俘虜収容所跡」と書いてあります。こここそが、第一次世界大戦のとき中国青島(チンタオ)で捕虜になったドイツ軍の人たちが収容され、地元の人々と協力して、初めて第九を演奏したところなのです。「日本の音楽文化にとって大きなエポックとなったのがここなのだなー」なんて高尚なことを考えながら、しばしたたずんでしまいました。

2番は極楽寺、そして3番

 1番から20分ばかり歩いて、2番極楽寺へ着きました。「ふ~ん、霊山のあとは極楽なんだ?」なんて意味のないことをつぶやきながらのお参りです。広い境内に本堂や観音堂が建っています。巨大な杉の木があり『長命杉』とありました。みなさんしばってあるザイルを引っ張って長命願いです。だいたいみんな願いは共通なのでしょうね。
 ここにも観光バスがずらり!でも、「個人で納経の方はこちらへ」とあり、団体さんと分けてありましたので、待たされませんでした。ありがとうございます。

 3番は金泉寺です。途中から「巡礼道」と田んぼの中の細道を通って、裏からのお参りになりました。ここは源平合戦のおりに義経が立ち寄ったところだそうで、「弁慶の力石」というのがありました。ここでは納経所に山と積まれた団体さんのを見て、前で寂しく待っていたところ「個人の方ですか、ではどうぞ」と中へ入れててくれました。ありがとうございます。

 それにしても暖冬だったこの冬が、3月になってにわかに寒くなり、冷たい北風が吹いてきます。次の4番までは6.1キロもあるようです。1人で歩くにはそろそろ寂しくなって来ましたね。あとで気がついたのですが、どうやら1~3番までは初心者向けに短距離になっていたようですね。明日からは10キロを越えるのが普通となり、88ヶ所の間には高知県のように2日もかけてやっと次へたどり着くところもあるようなんです。あ~あ・・・。

4番は山の中のかわいいお寺さん

 途中休み休みしながら、ずっと民家の間の古い街道を歩いて広い道に出たところ、すぐ前に5番さんが見えます。あれっと思って聞いてみると、まだまだ北へしばらく行った所だそうです。途中で向こうからくる人に「まだだいぶありますか?」などと聞きながら進みます。徳島高速道の下を通り、やっと山中の谷あいにかわいいお寺さんが見えてきました。4番大日寺です。でもここも観光バスが5台でした。

 同じ道を引き返して5番地蔵寺です。ここは500羅漢で有名なところだそうです。一段上に奥の院として回廊があり、大きな羅漢さんがずらりと並んでいるそうです。でも有料だったのとどうも怖そうだったのでパスします。しかし上から見たこの地蔵寺、『いらか』という表現がぴったりの立派なお寺さんです。

 15時半です。そろそろ今晩の宿を決めなくてはなりません。案内書では次の6番安楽寺はルート最大の宿坊があるそうです。私、一度は『宿坊』というものに泊まってみたかったのです。ということで電話してみました。
 「あのー、今晩1人ですが、泊まれますか?」「大丈夫です。いつ頃おいでになりますか?」というわけで予約完了。で、案内書を見るとここから約5キロとか。ゲッ。でもまあ1日の終わりです。がんばって歩きましょう・・・。

安楽寺でのお泊りは、温泉三昧でした

 そうなのです。「安楽寺」というお名前がちょっとだけ心配でございました。なぜって?。だって「安楽に・・」天国へ行っちゃあ?なんて考えたのは私だけなんでしょうか。「罰当たりめ!」という声が聞こえてきそうです。でも2食つき6,500円で、とてもきれいな4畳半の和室に1人で泊まらせていただきました。テレビも100円は不要でした。そうそう、ここは「温泉山安楽寺」といいまして、弘法大師が温泉を開いた所でもあるそうで、温泉だったのですよー。極楽極楽。
 お寺さんなのにお酒OKだった食事も美味しかったし、その後はお勤めです。泊り客がみんな本堂に集まり般若心経などのお経をあげました。本尊である薬師如来の真言「・・・」を88回も唱えさせられたのには驚きましたが。
 今日の歩数は33,000歩でした。これまでの自己記録でしょうか?それにしても歩いている人に2~3人しか会いませんでした。土曜日と言うのに・・と聞いてみましたが「朝早くからは歩く人が多いですよ」とのこと。なんとどこも納経所が7時から開いているんだそうです。
 で明日は、7番から11番までで泊まったほうがいいですよと、納経所で教えられました。次の12番はそこだけでほぼ一日かかるんだそうです。う~ん。食事のとき個人泊まり組ということでご一緒したご婦人に教えられた宿に、早速電話をかけてしまいました。11番のすぐ近くの旅館です。  それにしても今日は疲れました。おやすみなさーい。zzzz・・・

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