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剣山中へと分け入って、2+1寺を訪ねる
ー四国霊場20~21番ー

 今日は海岸近くから一気に西行、四国山脈のなかへ分け入りました。20、21番と、別格20の3番寺さんです。さすが、気の弱い私などとても歩こうという気のしない、山上のお寺さんばっかりでした。

四国難所のひとつ、20番鶴林寺

 四国霊場は納経が朝7時から始まります。早立ちして細い山道をたどりたどりしてやってきました。
 前回歩いた焼山寺以上の難所とされているのがこの鶴林寺で、570mの山上にあります。ちょっとだけは下から歩こうとも思ったのですが、結局思うだけに?してしまいました。本当に静かな、山上の古いお寺さんで鳥の声がしみいるようでした。四国には少ないと言う三重の塔は各層ごとに様式が違うとありましたが、まことに良い姿をみせています。この塔は江戸期の再建らしく、江戸期に建ってそのまま残る三重の塔は県内でここだけだそうです。
 本堂も古いものでしたが、鶴のお寺さんらしく前には狛犬のかわりに2体の鶴がおかれ、その鶴まで「ア、ウン」だったのがおかしさをさそいました。
 ここでは、車で逆周りしている人に出会いました。連休をいっぱいに使って、6~7日で88ヶ所全部を回っているそうです。効率の良い日には20箇所近くも回ったそうでした。う~ん、そんなのもあるのでしょうが、納経料だけでも軸だと500円×88で44,000円にもなります。高いスタンプラリー?で、各お寺の印象など残らないのではないでしょうか?けちな?私など、おもわず「もったいない」と言ってしまいます。

別格3番 慈眼寺

 鶴林寺を下りて、また奥へ奥へと入って行き、また山に登ります。たどり着いたのは「四国霊場別格3番」という慈眼寺でした。もうそろそろ剣山に近いのかもしれません。たどりついたとたんに「あっ、かわいいお寺」とつぶやいてしまいました。「別格」というからには以前に行った箸蔵寺のような巨大なお寺を想像していたのです。たしかに広い塀をめぐらしてはありますが、まさに「かわいい」という表現がぴったりのお寺さんでした。
 ここは奥に「穴禅定」という鍾乳洞があり、弘法大師は19歳のときここで修行し、それいらいの修行の場となっているそうです。
 近くからの景色のよさも格別で、境内には藤の花も今を盛りと咲き誇っていました。

山河越えたロープウエー、21番太龍寺

 那賀川沿いの県道とは名ばかりで、車1台がやっと通れるような道を通って、21番太龍寺へのロープウエー乗り場へと到着しました。ここは道の駅にもなっていて、乗り場までの通路がみなみやげ物店になっています。ところで、往復2400円というロープウエーの料金には驚いてしまいました。思わず「高い!」と言って慌てて口を抑えた私に、受付嬢は済ました顔で「山河越えていきますからねー。」と。前長2774m、西日本一のロープウエーだそうで、1つの河(那賀川)、2つの山を越えて行くのです。総工費26億円、平成4年(1992)完成だそうです。
 ロープウエーからも、お寺の境内からも、はるか2つ向うの峰のうえに、20番鶴林寺の三重の塔が遠望できました。よくあそこから歩いたりしてくる人もいるもんだと感心してしまいます。
 ここは弘法大師が若いころの修行の場で、広い寺域に伽藍が散らばり、「西の高野」とも呼ばれているそうです。本坊の龍天井は珍しいものでしたが、まさか廊下の天井に描かれているとは驚きでした。 (2007,5)


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