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山だらけ!高知平野の南部を歩く
ー四国霊場31番~35番ー

 今回の旅のうち1日くらいは歩き遍路をと、3日目は高知平野南部の諸寺を歩くことにしました。

五台山公園にある竹林寺は学問の寺

 高知市中心部の南東、有名な五台山公園の山上(450m)にあります。唐の五台山に似ているということで開かれた、31番竹林寺。四国霊場で唯一文殊菩薩を祀った学問の寺でもあります。もう一つ、四国霊場では珍しい、朱塗りの五重の塔がありました。

 今日はここに車を置いて、歩き遍路です。さてさてどこまで行けますことやら?。早速下山路は石ゴロゴロの難路です。
 でも、ちょうど富士吉田市からこられて、四国遍路は6回目というHさんと出会い、この日一日を同道させていただくことになりました。弘法大師のお引き合わせなのでしょうが、このHさん、かなりの先輩なのですが、背も高く、コンパスも長く、スタスタ・・スタスタ・・。何とか一日、一生懸命について歩くことができました。ありがとうございました。
 途中、写真のような新しい休憩所で接待も受けました。

海に近く、見晴らしのよい32番

 31番から1時間50分、やっとたどりついたのは、100mばかりの小山の上にある32番禅師峰寺でした。この山が補陀洛山に似ているということから、本尊は観音様。観音ファンの私には嬉しいお寺さんでした。
 ところで歩いていて気づいたのですが、この高知平野南部は、地図ではまっ平らな平野が続いていると思っていたのですが、どうしてどうして、あちこちに小高い山が、文字通りゴツゴツと顔を出しているのです。これが四国山地から太平洋に沈んでいくという地形は、もしかするとすぐ北の高知市中心部あたりは盆地的地形なのかもしれないな?などと考えながらの歩き遍路でした。
 あ、この31番さん、場所的にはすぐに海岸が迫り、素晴らしいながめでした。それとこのあたりは水が少なく、隣は石土池(写真右)という大きなため池になっていました。

南の国に、雪のお寺さん

 高知市中心部まで海が入り込んでいる浦戸湾。その入り口を無料渡船で渡ってたどり着いたのは、33番雪蹊寺(せっけいじ)です。車は浦戸大橋を渡るのですが、歩きや自転車、バイクなどはこの渡船で近道を渡れます。県営だそうで、この無料渡船、わずか5分ですが嬉しいものでした。
 向かう道々、どうもこのお寺の名前が気になりました。南の国に雪の名前なのです。山水画を思い起こす「雪渓」とも少し違うようだし・・・。なぜ?との歩きながらの疑問は、到着とともに晴れました。ここは長曽我部元親の菩提寺であり、雪蹊は元親の法名なのだそうです。雪蹊、雪の小径(こみち)、なかなかロマンチックな名前ですね。本堂は最近改築されたようで、新しかったです。
 ここへの道々、浦戸湾入り口の両側には、古い町並みが残されていました。種崎と長浜というそうで、長浜は長曽我部元親の城下町として開けたところだそうでした。

農業のお寺さんは、用水路の中に

 34番種間寺までは、突然声をかけてこられた地元の親切なおばさんに車で送っていただきました。今日中に35番まで行きたいという私たちを見かねたのでしょう。ありがとうございました。
 ところでその種間寺は、名前の通り周辺が米どころの農業のお寺さんのようです。こうして歩いていますと遍路道の横を、しばしがきれいな用水が流れていました。
 稲は既に刈り取られ・・、というより、刈られた株から再び伸びた稲に穂が出て、実りかけているのです。そういえば、高知は2期作が出来るところでした。米あまりで今では2期作はしないようですが、「あの稲、また刈るのかな?」などと余計なことを考えてしまいました。それでも、稲のほうは、『2期実らせますよ』と悲しい主張をしているようでした。

西へ西へ、遠かったです。35番

 そこから西へ西へ、「たぶんあの山の中腹辺りにあるのが35番です」というHさんの声に目をこらすと、その山は、はるかにかすんでいるではありませんか。35番清瀧寺への道は、仁淀川を越え、10キロ以上ありました。そして最後は山道です。
 でも、土佐市の中心部高岡を近くに見ながらたどり着いたのは、これまた絶景でした。ホッと心洗われる思いがします。遠くから見た書院の大きな屋根も、正面の大きな薬師如来像も、「今日最後のお寺にたどり着いたのだー」という感激を増幅してくれます。

 この日はここで打ち止めです。下の市役所前から高知市中心部へバスで帰りました。そして五台山へというところで大雨です。タクシーのお世話になりましたが、歩き遍路中降られなかったのは幸いでした。
 車で桂浜浜海道から横浪黒潮ラインへと快適なドライブを続けて、たどり着いたのは「国民宿舎土佐」でした。今日は旅の3日目です。そろそろちゃんとした宿で汗を流したいなと思っていたところで、グッドタイミングでした。感謝感謝・・・。
 というところで、お酒をいただきながら、今この原稿を書いています。あ、この宿の露天風呂からの景色も絶景でした。今回の旅は、本当に景色には恵まれています。寿命が延びます。めざせ100歳!(2007,10)

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