高知市中心部まで海が入り込んでいる浦戸湾。その入り口を無料渡船で渡ってたどり着いたのは、33番雪蹊寺(せっけいじ)です。車は浦戸大橋を渡るのですが、歩きや自転車、バイクなどはこの渡船で近道を渡れます。県営だそうで、この無料渡船、わずか5分ですが嬉しいものでした。
向かう道々、どうもこのお寺の名前が気になりました。南の国に雪の名前なのです。山水画を思い起こす「雪渓」とも少し違うようだし・・・。なぜ?との歩きながらの疑問は、到着とともに晴れました。ここは長曽我部元親の菩提寺であり、雪蹊は元親の法名なのだそうです。雪蹊、雪の小径(こみち)、なかなかロマンチックな名前ですね。本堂は最近改築されたようで、新しかったです。
ここへの道々、浦戸湾入り口の両側には、古い町並みが残されていました。種崎と長浜というそうで、長浜は長曽我部元親の城下町として開けたところだそうでした。
34番種間寺までは、突然声をかけてこられた地元の親切なおばさんに車で送っていただきました。今日中に35番まで行きたいという私たちを見かねたのでしょう。ありがとうございました。
ところでその種間寺は、名前の通り周辺が米どころの農業のお寺さんのようです。こうして歩いていますと遍路道の横を、しばしがきれいな用水が流れていました。
稲は既に刈り取られ・・、というより、刈られた株から再び伸びた稲に穂が出て、実りかけているのです。そういえば、高知は2期作が出来るところでした。米あまりで今では2期作はしないようですが、「あの稲、また刈るのかな?」などと余計なことを考えてしまいました。それでも、稲のほうは、『2期実らせますよ』と悲しい主張をしているようでした。
そこから西へ西へ、「たぶんあの山の中腹辺りにあるのが35番です」というHさんの声に目をこらすと、その山は、はるかにかすんでいるではありませんか。35番清瀧寺への道は、仁淀川を越え、10キロ以上ありました。そして最後は山道です。
でも、土佐市の中心部高岡を近くに見ながらたどり着いたのは、これまた絶景でした。ホッと心洗われる思いがします。遠くから見た書院の大きな屋根も、正面の大きな薬師如来像も、「今日最後のお寺にたどり着いたのだー」という感激を増幅してくれます。
この日はここで打ち止めです。下の市役所前から高知市中心部へバスで帰りました。そして五台山へというところで大雨です。タクシーのお世話になりましたが、歩き遍路中降られなかったのは幸いでした。
車で桂浜浜海道から横浪黒潮ラインへと快適なドライブを続けて、たどり着いたのは「国民宿舎土佐」でした。今日は旅の3日目です。そろそろちゃんとした宿で汗を流したいなと思っていたところで、グッドタイミングでした。感謝感謝・・・。
というところで、お酒をいただきながら、今この原稿を書いています。あ、この宿の露天風呂からの景色も絶景でした。今回の旅は、本当に景色には恵まれています。寿命が延びます。めざせ100歳!(2007,10)